夫の闘病生活の中で思い出した 一瞬一瞬の奇跡 〜 ひさみ ストーリー ⑩ 〜

夫の闘病生活が私達の日常になりました。

過去に意識を向ければ、
できなかったことを後悔し、
今の自分が心を痛めます。

未来のことを考えれば、
たちまち大きな不安に襲われて、
今という時がただ重く苦しいものになります。

夫と私は、大切な今からエネルギーを奪われないために、
過去や未来に意識が飛んだ時は、
今、一緒にいることができる奇跡
にフォーカスする癖をつけていました。

そうやって、一瞬一瞬、

「ただ、今にいる生を感じる」

ことを実践していました。

この日々の実践はいつの間にか
私のマテリアルマインドを弱めていきました。
子供の頃のように
スピリットマインドの中におさまっていくのがわかります。

なぜなら、現実は試練の真っ只中にいながらも、
私の中にスピリットマインドの平和地帯も存在していたからです。

私たちは、だんだんと、
何気ない日々の日常が
満ち足りていたことに気づくようになりました。

一緒に歩くこと
一緒にテレビを観ること
一緒に食事をしながら、たわいもない話をすること

健康な時は気にもとめず、通り過ぎていってしまう
日常の一コマがかけがえのない幸せになりました。

限られた時間の中で、
一緒に過ごせる奇跡を 私達は本気で楽しみました。

私は毎日、瞬間瞬間に意識の視点を合わせることを実践し、
今という時を一緒に過ごせる奇跡に感謝を向け続けていたら、

現実世界では、
夫の癌は進み続けている最悪の状態なのに、、、
きっと何の希望も感じられない状態なのに、、、

いつしか私は安全や安心を感じる満ち足りた感覚に
いつも守られるようになりました。

死期が近づいてきている夫のエネルギーを見て、
彼も、同じように感じているのがわかりました。

彼のエネルギー状態を視ると、
マテリアルマインドの振動が弱まり
スピリットマインドの中に収まっているのがわかります。

この時、はっきりとわかったことがあります。

それは、

人間のマテリアルマインド（自我）がスピリットマインドの中に収まると、
誰もが一瞬一瞬に存在する満ち足りた世界を感じることができるんだ

ということ。

大いなる宇宙と一つになっているような感覚です。

（この感覚は大きすぎて、
この世界の言葉に翻訳されると、表現が無限に出てきます。
光、無条件の愛、完全、至福、平和、穏やかさ、心地よさ、
高次のエネルギー、ワンネスなど、、、）

手の施しようが無く10日という余命宣告を受けてから、肉体に現れている症状が安定し、夫は抗がん剤治療と、放射線治療ができることになり、半年が過ぎ、一年が過ぎていきました。

その期間、過酷な闘病生活に一喜一憂しながらも、その状況に左右されない穏やかなスピリットマインドですべてを愛おしく経験しました。

優しい時間が流れる日。
希望を持って前向きになれる日。
ただただ涙がこぼれてくる日。
体や容姿に現れる副作用や転移で落ち込む日。

私たちは、夫がこの世を去る瞬間まで、
生きることにフォーカスし、一緒にいられる奇跡を体験していました。

夫は、自らをとおして、
肉体を持って生きてきた人間が
肉体から離れていく時、エネルギーの領域ではどのような過程をたどるのか、
ということを私に見せてくれました。

言葉で表現すると、うまくできるか分かりませんが、
説明してみようと思います。

夫がこの世を去る時が近づいていた時、
彼のエネルギーがおへその部分だけで繋がっていて、
そこから、白い光の帯のようなエネルギーが
何本も身体から宙に向かって、ヒラヒラと舞い上がっていくのが視えました。

この世で表現されている天使の羽衣のイメージが近いかもしれません。
キラキラとしたエネルギーが光り輝いて揺れています。

ヒラヒラのエネルギーの本数が日に日にどんどん増えて、
夫のおへその辺りを軸にして
蓮の花のように広がっていきました。

やがて、
生命の終わりが近づいてきた瞬間、
おへそで繋がっていたその蓮の花がだんだん揺らぎ始め、
天使の羽衣のようなエネルギーの数々と一緒に外れ、
ゆっくりと上にあがり始めます。

その様子があまりにも美しく、私はとても長い時間、魅了されていたように感じました。

ふと、私の意識の視点がこの世界に戻り、
現実の私は、夫の手を握りながら、家族と共に最期を見届けていました。

そして、医師から夫の死を告げられました。

享年37歳。

私の愛おしい人生の一つの章が幕を閉じた日。

忘れることのない37歳の夏。

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