人がその本質の意識に目覚めるとき

スタッフのブログ 編集部ともこ

皆さんは、ベニヤ説というのをご存知でしょうか。
これは「人間の道徳性は薄いベニヤ板のようなものであり、少しの衝撃で容易に折れる」という西洋に深く浸透している考え方で、オランダの生物学者であるフランス・ドゥ・バールがこの名を名づけたものです。

「薄いベニヤ板の下には、常に意地悪で利己的な本性がある」としていて、西洋文化では非常に強力で支配的な考え方とのこと。
この考え方のルーツを辿ると古代ギリシャまで遡ることができ、17~18世紀の啓蒙主義の時代から世界に広まったそうです。

そして現代の資本主義の社会は、このベニヤ説が主張する「人間の本性は悪である」という性悪説を前提に作られています。
今の経済を主導してきた西欧社会が、伝統的に「人間は生来、利己的」という立場を取ってきたからです。

ところがこの性悪説の真偽を確かめるべく、それを証明する数々の証拠を集め確認した結果、
意外にも「人間の本質は善である」という結論に辿りついた、という本を読みました。
ルドガー・ブレグマン著『Humankind希望の歴史』という本です。

著者のルドガー・ブレグマンは、オランダ出身の歴史家、ジャーナリストで、
この本は本国オランダではベスセラーとなり、世界45ヵ国で翻訳されて欧州メディアからも絶賛された話題の本だそうです。
皆さんの中にも読んだ人がいるかもしれません。
実際に読んでみると、その語り口にあっという間に引き込まれ、時間が経つのを忘れるくらい没頭しました。

この本はほぼ全編が、根強く信じられ今の社会の設計に採用されている性悪説の検証と、
それを覆す検証結果です。数々の性悪説が検証されていき、
「本当は人間の本質は善なのだ」と言う一つの真実に向かっていきます。
とても面白かったので、読んだことのない方は機会があったら是非読んでみてください。

ところで、私がこの本の中で、特に意識が向いた箇所があります。
冒頭の序章で述べられた、第二次世界大戦下のロンドン大空襲での話です。

この空襲を仕掛けたヒトラーは、
フランスの社会心理学者であるギュスターヴ・ル・ボンが書いた『群衆心理」を熟読していました。この本には「人々が危機に瀕した時にはほぼ瞬時にして『人は文明の階段を何段も駆け降りる』、つまり恐怖心に圧倒されヒステリックな状態になるだろう」と述べられているそうです。
ヒトラーは「空襲によってロンドンの数百万の市民が恐怖に取り憑かれ、パニックから暴動が起きるだろうから、軍隊はそれを抑えるのに手一杯となって敵と戦う余裕がなくなるはず。そして英国人は戦意を失うだろう」というシナリオを基に攻撃計画を立て、実行したのです。
1940年9月7日に始まったこの空襲は、9カ月に及び、結果4万人以上が亡くなったそうです。

さてこの空襲の日々は、ロンドンの市民に一体どういう影響を及ぼしたでしょう?
本当に群衆心理に書いてある通りの、ヒステリックで野蛮な「本性」をあらわにしたのでしょうか。

この時のロンドンの状況を伝える数々の目撃談や記録が残っています。
例えば、
空襲で窓がガタガタ音を立てていても「怖がったところでどうしようもないでしょう? 」
とキッチンで静かにお茶を飲む老夫婦の姿。
空襲で建物を破壊されたデパートは「営業中。本日から入口を拡張しました」とユーモア溢れるポスターを提示。
空襲が始まって数週間で、空襲の状況はまるで天気予報のように淡々と報じられるようになり、
国内経済の数字にもほとんど影響なし。
この時期はアルコール依存症と自殺者の数すらも平時より少なかった。
そして人々は、支持する政党が労働党か保守党か、裕福か貧しいかという、そんな違いは誰も気にせずお互いを助け合っていた。

ロンドン大空襲における記録が伝えるのはそんな話の数々で、いずれもその期間、パニックや暴動が起こるどころか、ロンドンは静けさに包まれていて、市民はとても冷静だったそうです。

私はこのエピソードを読んだ時、「あれ? 」と思ったのです。
こんな風に冷静でお互いを助け合い、ユーモアさえも持っているこの市民の姿は、
もしかしてスピリットマインドの意識が目覚めたものではないだろうか? と。
市民の中には「あの時は良かった」と、
空襲の時の人々の心の繋がりを懐かしむ人すらいたそうです。 
空襲なのにです。

確か以前、恒美(ひさみ)さんから
「人はどうしようもない困難に出会った時、スピリットマインドの意識に目覚める」
という話を聞いたな、と思い出しました。
なのである日のミーティングでこの話を恒美さんにしてみました。

すると恒美さんはこんな返事をしてくれました。
「私たちは自我の意識であるマテリアルマインドが大きくなりすぎて、意識の主導権を握り過ぎているよね。
でも新しいエネルギーによって、本来の姿であるスピリットマインド主体の意識に戻るために、
その主導権を一気にゼロにされることが起こりはじめているのが、今なの。

でも、大きくなり過ぎているからこの自我の意識を私と思って生きているし、
それを自分で壊すことはなかなか難しい。

この時に地震とか災害など自分ではどうしようもない困難が起きると、
自我は『どうにもできない』と主導権を放棄するから、
人間の元々持っている本質=スピリットマインドが出てくる。

これって、自我の意識であるマテリアルマインドからすると大変な困難なんだけど、
エネルギーから見ると自然な流れなの。

ロンドン大空襲の話はこのエネルギーの流れのことを言っているのだと思う」

やっぱりそうか。
ロンドン大空襲で目撃され「善」とされた人々の在り方は、
スピリットマインドの意識の姿なんですね。

そしてこの本のテーマは「人間の本性は従来から言われているような悪ではなく、善だったのだ」というものですが、人間の本当の姿は悪か善かの二者択一ではなく、
スピリットマインドという魂につながった意識=愛のエネルギー、ということなんですね。

ロンドン大空襲の時の話は、空襲という大変な事態に9ヶ月間も見舞われて、
その結果、自我の意識が主導権を放棄し本質であるスピリットマインドが現れたエネルギーの流れを表すエピソードなのだと思うと、
今新しい時代を迎えて、行き過ぎた自我の意識であるマテリアルマインドがその主導権を放棄するときが来たから、それに関連する事を伝える本が世に出てきたのかもしれないな、と思いました。

このエネルギーの流れの話に関連して、恒美さんが更に教えてくれたことがあります。

「今から十数年前に新しいエネルギーが降りてきたとき、
これから誰もが大きくなり過ぎた自我の意識ではなく、
もう一つのマインド、スピリットマインドで世界を解釈していくと知ったの。

けれどどうしてもマテリアルマインドが主導権を手放さないとなると、
手放さざるを得ない状況が外側からやってくる。

外側からやってくるとき、それを自我の視点から見ると、
試練とか大変な出来事になってしまうけど、
マテリアルマインドはそのような形にまでならないと、主導権を放棄しないから。

でもね、この事を知っていたら、外側から試練が起こる前に自分から変えていく事ができるの。
外側でまだ何も起きていない状態で、自分からスピリットマインドの質を意識していたら、
外側で何も起こさないで済む。

エネルギーで見ると、外側から経験して自分の意識を目覚めさせるのも、内側で自分から意識を目覚めさせるのも同じ。
だったら何も起こってない平和のうちに目覚めさせた方が良いよね。

自分たちで進んで『スピリットマインドの意識はこうだよ』と
マテリアルマインドに教えてあげる事を少しでも多くの人たちがやれば、
全体の意識として強制的に主導権を放棄せざるを得ない事が社会に起こるのを減らすことができるの。
スピリットマインド・オンライントレーニングをリリースするのは、そのためでもあるんだよ」

私は毎日のように行くスーパーで、何故か時々、
「色とりどりの商品が溢れるばかりに売り場に並ぶこの現実が、いつまでも続きますように」
と祈るような気持ちになることがあります。
そして目の前にある豊かさに対する感謝の気持ちでいっぱいになったりもします。

世界に不穏なニュースが流れるときもある中、
この社会がどこに行くのかなとふと思うときもあります。
きっと誰だって、社会に大変なことが起こるのを経験したくはないし、
自分の目の前に展開するのがずっと豊かで平和な現実であってほしいと思いますよね。

今回の恒美さんの話を聞いて、社会が平和であるために1人でも多くの人がスピリットマインドというものに気づいて、
この意識に目覚めますように、と強く思いました。
これからもスピリットマインドに少しでも興味を持ってもらえるよう、
皆さんにお伝えしていきますね。

 

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