夫からの愛を受け取りながら 〜 ひさみ ストーリー ⑬

ひさみストーリー

実は、夫が亡くなった時から、
私は彼の存在をずっと感じていました。

それは夫の死を告げられる数秒前のこと。
私の頭の中で声がしたのです。

「なんだこれ?
身体がすごく楽になった。
こんなに楽だったら、早く死ねばよかったよ。」

それはまるで私の脳を彼が共有している感覚です。

彼は、少し前の元気だった時の姿で現れ、身も(実際肉体はありませんが)心も軽くなっていることを、私は自分の感覚を通して味わいます。

後になって、人は亡くなった後、自分が一番輝いていた時の姿になることが多いと聞きましたが、私の脳を共有して現れた夫も、生き生きと仕事をしていて自信に満ち溢れていた頃の姿で現れました。
その頃よく着ていた、お気に入りのスポーツウェアの上下に、いつも手にしていたプラダのカバンを持って。

夫のエネルギーは、実際に生きていたその当時と同じエネルギーに満ち溢れていました。


それからも、彼の声が頭の中に聞こえていて、
日々私は、彼と会話をしながら暮らすようになりました。

始めの頃は、喪失感で私の精神が病んでいるのかと思うこともありましたが、
彼の声はいつも、私の思考にかぶさる形で話しかけてくるので、私が頭の中で作りあげた会話ではないことがハッキリとわかりました。


それに私達は、彼が生きているときに、よく話し合っていたことがあります。
それは、彼が肉体から離れた後、どのようにコンタクトを取るかということ。

この話し合いをする時は、いつの日か必ずやってくるであろう別離が、永遠の闇にしか感じられなくて、恐ろしくて泣きだすことが多かった私に、
彼はいつも『お前は絶対に俺がわかるから大丈夫。お前が俺をわからないわけがない。絶対にわかるから。自分の感覚を信じろ。』と言うのです。

私は、無理無理無理!と号泣しながらも、妙に説得力のあるパワフルな彼の言葉に、いつも助けられていました。

私達はいろんな合図や方法を決めましたが、実際肉体がなくなり彼が使えたのはそのうちのいくつかだけです。


きっと、彼の世界とこちらの世界では勝手が違うのでしょうね。
沢山決めておいて本当に良かったと思いました。

次元の違うコミュにケーションでわかったことは、あちらの世界から、こちらの世界へ伝わりやすい合図は、どうやら限られているということ。このことは機会がありましたら、また皆さんにシェアしたいと思っています。

生きているときにあなたが愛する大切な人と、そばに居る時の合図を話し合っておくこと、私はこれをすごくお勧めします。
何故なら、声が聞きたくて、そばにいるか感じたくてどうしようもない悼みの中にいる時、
ふと、2人で決めた合図が来たときの嬉しさは、言葉で言い表せないほどの愛の力を感じるからです。瞬時に今が愛で満たされ、生きることに光を与えてくれます。

 
彼は肉体を離れてからも私の側にいて、大切な時にはいつも話しかけてくれる存在でした。
お互い肉体を持って生きている時のコミュニケーションとは違いますから、事細かに会話ができるわけではありません。

でも迷っている時、現実で何か決断しなければならない時は必ず、彼が私の思考の中に割り込んできて、短い言葉で会話に入ってきてくれました。

例えば、彼が残した会社をどうしていくか考えていた時「4月3日。」こんな感じです。
当然、私はスピリットマインドですから、「4月3日に片付くんだ」とシンプルに考えるのをやめます。


彼との会話は、考えの中に閉じ込められそうになる私をいつも解放してくれ、今という広がりの中に戻してくれました。

そうやって彼は、私が今というパワフルな時にい続けることをいつも導き助けてくれ、
私はいつしか、夫との新しいコミュニケーションに自分の意識を合わせることに夢中になっていき、物質世界よりも、次元の違う彼と繋がることが生きがいになっていきます。

それがだんだんと、側にいる合図はあっても会話ができない日が多くなってきて、、。

夫が旅立ってから9ヶ月経ったある朝。
彼が久しぶりに強くはっきりと私の思考の中に入ってきました。そしてこの時はいつもと違って、長くテレパシーを感じていたように思います。

その時の彼のテレパシーを言葉にするなら、


ここにいたら、私と娘を守れるパワーがない。
自分も次のステージに進んでいきたい。
君はもう大丈夫。君も成長して自分の人生を生きて欲しい、、。


彼は肉体を持っている時も、
自分は、絶対お前より先には死なないと言いながら、
先に逝き、

肉体を持たなくなった彼との関係に希望を持ち出したら、
自分の人生を生きていってほしいと言われ、

肉体を離れてからも、また私を置いて別のところに行ってしまう彼に対して、どれだけ自分勝手なの?というような怒りの感情が私の中から溢れ出てきましたが、

「これが自分にとってもお前にとってもベストな選択」と彼は動じませんでした。


いやだと言っても私にそれを変えるすべはなく、そこからプツリと交信が途絶えます。私の中でいつも側にいる彼を感じていた場所は空になりました。
私は、ただただ悲しくて、号泣しました。

そして号泣すればするほど、自分の光が見えてくるような、以前も経験した不思議な感覚を覚えます。


私は彼が生きている時に、どっぷりと彼に依存して苦しんで、自分軸で生きる大切さを痛感したのに、亡くなってからの彼に、私はまたどっぷりと依存していたことに気づかされます。


(全く!!あなたはどーして毎回、彼にそんなに夢中になっちゃうの?)って、私の依存人生を客観的に眺めることができて、笑えてきました。
そして、人生の中で1人の男性にここまで依存して夢中に愛せたこと、1人の男性から無条件に愛を注がれたこと、共に経てきた紆余曲折も含め、私は何て幸せな体験ができたのだろうと思えたのです。

そう思えたとき、今まで感じたことのないパワフルなエネルギーが私の中から溢れ出てくるのを感じました。このパワフルなエネルギーは何?心も体も軽くなり視界が広がっていくのが分かります。マテリアルマインド(自我)の質だけが自動的に総入れ替えされたような真新しい感覚。。

真新しい感覚は未知のものですから、今の私が考えてもわかるはずが無いので、肉体は同じだけど、きっと生まれ変わっちゃったのかもくらいに解釈しました。(笑)

そして、私は、新しい自分で新しい体験をする未知の流れに身を委ねました。

 

 

 

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